世界の屋根チベット
チベットは、ヒマラヤ山脈の麓に広がるチベット高原を中心とした一帯を指し、もともとひとつの独立した国でした。
ほんの数十年前まで外国との接触もほとんどなかったチベットは、その謎めいた魅力から「秘境」と呼ばれ探検家や登山家たちの憧れの地でもありました。
現在「チベット」という国は存在せず、かつての首都ラサのあるチベット自治区や、周辺の青海省、雲南省など中国西南部を占める土地に約600万人のチベット人が暮らしています。
独創的な文化と溢れる笑顔
厳しい自然に囲まれた長い歴史の中で、チベット人は独自の宗教や言語、政治、文化、芸術などを生み出しました。
そのほとんど全ての根底にあるのがチベット仏教です。一家に一人は出家するという彼らの心には、このチベット仏教の教えが深く根ざしています。
チベット仏教には、魂は永遠に生まれ変わりを繰り返すという「輪廻転生」の考え方があり、どんな人や動物でも「どこかの人生で母親や父親だったかもしれない。また次の人生では兄弟に生まれ変わるかもしれない」と考え、小さな虫でさえ殺すことを好まず命を大切にし、思いやりを持って生きています。
チベットの現状
1950年に中国が「チベットは中国の一部である。」と主張し、チベットを軍事制圧しました。
その後、チベット最高指導者であるダライ・ラマ14世は身の危険を案じてインドのダラムサラへ亡命し、チベット亡命政府をつくりました。
たくさんのチベット人が彼の後に続き、その数は今でも後をたたず現在では世界に13万人以上、日本には約60人の亡命チベット人が暮らしています。
チベットが中国の支配下に置かれてからは急激な中国化が進み、現代では人口の減少、文化や言語の損失、環境破壊、人権問題などが起きています。
人々の信仰の中心、ダライ・ラマ法王
ダライ・ラマ法王14世は、現在もチベットの指導者としてチベットの問題に取り組み続けています。1989年にはその功績が高く認められノーベル平和賞を受賞しました。
法王の「愛と思いやり、非暴力」というチベット仏教の精神に基づいた言葉や行動は世界中から評価され、祖国を失った多くのチベット人たちの心の支えになっています。
数々の苦難の状況にあっても、笑顔と信仰心に満ちたチベットの人々。
その背景には、彼らが築いてきた壮麗な文化と仏教の教えが色褪せることなく脈々と受け継がれています。 |